大阪市の現状と課題
認知症高齢者の増加
大阪市の2017(平成29)年4月1日現在における高齢者人口(第1号被保険者数)は約68万人であり、高齢者の認知症有病率は15%と推定されていることから、大阪市の認知症高齢者数は約10万2千人であると推計されます。一方、同日現在における要介護認定の「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上の高齢者数は69,309人となっています。これらのことから、大阪市には、認知症であるが要介護認定を受けていない高齢者が3万人以上存在し得ることが推定されます。
また、同日現在における要介護認定の「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上の高齢者数は、2014(平成26)年4月1日現在に比して10.7%増加し、高齢者人口(第1号被保険者数)の増加率(5.6%)を上回るとともに、「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上の高齢者が要介護認定者に占める割合は6割を超える状況となっています。
高齢者の疾病としては、加齢とともにがん、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患等のいわゆる生活習慣病の有病率が高まりますが、75歳以上を中心とした高齢者数の増加に伴い、全国の推計と同様に、大阪市でも認知症高齢者のさらなる増加が見込まれています。
認知症に関しては、徘徊による行方不明や身元不明、地域からの孤立や孤独死、介護負担の増大による高齢者虐待、悪質な訪問販売等の消費者被害、車の運転による事故など、様々な社会的問題を引き起こす原因となることから、社会全体で認知症の人とその家族の支援に取り組んでいく必要があります。このようなことから、大阪市では、認知症高齢者支援を大阪市における重要課題と捉え、認知症高齢者等にやさしい地域づくりを推進していくため、国の「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)を基として認知症施策の推進に取り組んできました。今後も、この方針を継続し、総合的に認知症施策を推進していくことが重要であると考えています。
年齢区分別認知症高齢者数と第1号被保険者に占める割合
区別の認知症高齢者の状況をみると、西成区、平野区、東淀川区の順に多くなっており、第1号被保険者に占める認知症(居宅の方)の割合は、西成区、生野区、東淀川区の順に高くなっています。
資料:大阪市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(2018(平成30)年度~2020(平成32)年度)
大阪市福祉局高齢者施策部高齢福祉課企画グループ
大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所2階)
電話:06-6208-8026
大阪市認知症高齢者等
大阪市の認知症高齢者等の数(推計)
大阪市における認知症の高齢者等の人口推移をまとめてみました。
「認知症の高齢者等」は、「何らかの介護・支援を必要とする認知症がある高齢者」とされる「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の人としています。(「2015年の高齢者介護」〈高齢者介護研究会 平成15年6月〉より)
平成24年8月24日厚生労働省老健局公表「認知症高齢者数について」によりますと、全国の認知症高齢者数は、平成22年(2010年)には約280万人であると推計されていました。 平成27年(2015年)には約345万人、平成37年(2025年)には約470万人になると推計されています。
平成28年(2016年)4月1日現在、大阪市の認知症高齢者等の数は70,000人を超えています。その後も増え続けています。
認知症の高齢者等(単位:人) | 40~64歳 | 65~74歳 | 75歳以上 | 総数 |
---|---|---|---|---|
平成31年(2019年)4月1日現在 | 1,516 | 8,246 | 67,179 | 76,941 |
平成30年(2018年)4月1日現在 | 1,487 | 8,149 | 64,017 | 73,653 |
平成29年(2017年)4月1日現在 | 1,508 | 8,099 | 61,210 | 70,817 |
平成28年(2016年)4月1日現在 | 1,539 | 8,612 | 59,942 | 70,093 |
平成27年(2015年)11月30日現在 | 1,431 | 8,332 | 57,290 | 67,053 |
平成27年(2015年)4月1日現在 | 1,544 | 8,422 | 56,914 | 66,880 |
平成26年(2014年)11月30日現在 | 1,510 | 8,132 | 55,013 | 64,655 |
平成25年(2013年)11月30日現在 | 1,566 | 7,775 | 52,759 | 62,100 |
平成24年(2012年)11月30日現在 | 1,674 | 7,351 | 50,170 | 59,195 |
平成23年(2011年)11月30日現在 | 1,683 | 7,105 | 47,631 | 56,419 |
平成22年(2010年)11月30日現在 | 1,590 | 6,946 | 44,175 | 52,711 |
平成21年(2009年)11月30日現在 | 1,461 | 6,676 | 41,634 | 49,771 |
平成20年(2008年)11月30日現在 | 1,707 | 7,580 | 38,749 | 48,036 |
平成19年(2007年)11月30日現在 | 1,359 | 6,403 | 38,049 | 45,811 |
※この推計は医学的に認知症と診断されたものではなく、要介護認定における認定調査結果を基に推計したもので、要介護認定を受けていない人は含まれていません。
大阪市の認知症高齢者等の数(推計)の推移
認知症高齢者等の数、平成19年~平成26年は各11月30日時点、平成27年以降は4月1日時点
要介護認定データを基に「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上を認知症高齢者等の割合として算出
大阪市福祉局高齢者施策部高齢福祉課
大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所2階)
電話:06-6208-8026
大阪市の認知症高齢者等の数(推計)の推移をグラフ化
大阪市の認知症高齢者等の数(推計)の推移をグラフ化してみました。認知症高齢者等を年齢別に見てみると、75歳以上の後期高齢者の数が大きく増加していることが一目でわかります。
大阪市の認知症高齢者の増加人数と増加率
大阪市の認知症前期高齢者は、平成19年11月30日時点の6,403人から平成26年11月30日時点の8,132人まで、7年間で1,729人増加しています。
7年間の増加率は127%です。
大阪市の認知症後期高齢者は、平成19年11月30日時点の38,049人から平成26年11月30日時点の55,013人まで、7年間で16,964人増加しています。
7年間の増加率は144.58%です。
大阪市の認知症高齢者
大阪市の認知症高齢者(平成31年(2019年)4月1日現在)
大阪市においては、平成31年(2019年)4月1日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は75,425人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成30年(2018年)4月1日現在)
大阪市においては、平成30年(2018年)4月1日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は72,166人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成29年(2017年)4月1日現在)
大阪市においては、平成29年(2017年)4月1日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は69,309人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成28年(2016年)4月1日現在)
大阪市においては、平成28年(2016年)4月1日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は68,554人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成27年(2015年)11月30日現在)
大阪市においては、平成27年(2015年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は65,622人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成27年(2015年)4月1日現在)
大阪市においては、平成27年(2015年)4月1日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は65,336人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成26年(2014年)11月30日現在)
大阪市においては、平成26年(2014年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は63,145人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成25年(2013年)11月30日現在)
大阪市においては、平成25年(2013年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は60,534人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成24年(2012年)11月30日現在)
大阪市においては、平成24年(2012年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は57,521人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成23年(2011年)11月30日現在)
大阪市においては、平成23年(2011年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は54,736人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成22年(2010年)11月30日現在)
大阪市においては、平成22年(2010年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は51,121人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成21年(2009年)11月30日現在)
大阪市においては、平成21年(2009年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は48,310人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成20年(2008年)11月30日現在)
大阪市においては、平成20年(2008年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は46,329人となっています。
大阪市の認知症高齢者(平成19年(2007年)11月30日現在)
大阪市においては、平成19年(2007年)11月30日現在の介護保険第1号被保険者に対して、何らかの介護・支援を必要とする認知症高齢者(要介護認定において「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅡ以上)は44,452人となっています。
大阪市の認知症高齢者の人口推移
上記の推計(大阪市の認知症高齢者)は、医学的に認知症と診断されたものではなく、要介護認定における認定調査結果を基に推計したもので、要介護認定を受けていない人は含まれていません。
認知症高齢者の日常生活自立度
認知症高齢者の日常生活自立度とは
認知症高齢者の日常生活自立度とは、高齢者の認知症の程度を踏まえた日常生活自立度の程度を表すものです。
介護保険制度の要介護認定では、認定調査や主治医意見書でこの指標が用いられており、要介護認定における、コンピュータによる一次判定や介護認定審査会における審査判定の際の参考として利用されています。
その記入に当たっては表の判断基準を用いています。
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準 | ||
---|---|---|
ランク | 判断基準 | 見られる症状・行動の例 |
Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 | |
Ⅱ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 | |
Ⅱa | 家庭外で上記Ⅱの状態がみられる。 | たびたび道に迷うとか、買物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ等 |
Ⅱb | 家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる。 | 服薬管理ができない、電話の応対や訪問者との対応など一人で留守番ができない等 |
Ⅲ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。 | |
Ⅲa | 日中を中心として上記Ⅲの状態が見られる。 | 着替え、食事、排便、排尿が上手にできない、時間がかかる。やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声、奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等 |
Ⅲb | 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる。 | ランクⅢaに同じ |
Ⅳ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。 | ランクⅢに同じ |
M | 著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 | せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等 |
大阪市福祉局高齢者施策部高齢福祉課
大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所2階)
電話:06-6208-8026
「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」の構想
認知症を知り地域をつくるキャンペーン
2004年12月に「痴呆」の呼び名が「認知症」に改まり、つづく2005年度が「認知症を知る1年」と位置づけられました。単なる呼称変更にとどまらず、今後多くの人々に認知症が正しく理解され、また認知症の方が安心して暮らせる町がつくられていくよう、その第一歩として、普及啓発のためのキャンペーンが開始されました。
厚生労働省の「認知症を知り 地域をつくる10ヵ年」の構想のもと、認知症の方とそのご家族を地域の中で支える「地域づくり」をめざしています。民間の有識者や団体を中心とした「認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議」の支援をうけ、平成17年度から全国で展開されています。
みんなで認知症の人とその家族を支え、見守り、ともに生きる地域を築いていく運動を推進しています。
認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議宣言
- わたしたちは、認知症を自分のこととしてとらえ、学びます。
- わたしたちは、認知症の人の不安や混乱した気持ちを理解するよう努めます。
- わたしたちは、認知症の人が自由に町に出かけられるよう、応援します。
- わたしたちは、認知症の人や家族が笑顔で暮らしていけるよう、いっしょに考えます。
- わたしたちは、市民や企業人としてできることを行い、安心して暮らせる町づくりをめざします。
認知症サポーター100万人キャラバン
私たちデイサービス昭和館のスタッフは、認知症に対して正しく理解し、偏見をもちません。
認知症の人やそのご家族を温かい目で見守ります。
地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携のネットワークづくりに寄与します。
デイサービス昭和館のスタッフは大阪市キャラバン・メイトとして登録し、活動に参加しています。
認知症サポーターおよびキャラバン・メイトに関するお問い合わせ
大阪市社会福祉協議会 地域福祉課(大阪市キャラバン・メイト事務局)
電話:06-6765-7273
認知症サポーターの養成と活動の支援
認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)では、認知症への理解を深めるための普及・啓発を推進しています。
認知症サポーターの養成と活動の支援について、認知症サポーターを量的に養成するだけでなく、活動の任意性を維持しながら、認知症サポーターが様々な場面で活躍してもらうことに重点を置いています。
デイサービス昭和館は、事業所の休業日に施設の一部を提供し、社会貢献の一環として、認知症カフェ(オレンジカフェ昭和館)を開催しています。
オレンジカフェ昭和館では、ボランティア活動としてお手伝いしてくださる方を受け入れしています。
認知症サポーター養成講座を修了して、認知症サポーターとして活躍の場をお探しの方はお気軽にお問い合わせください。